牛の手術

昨夜もう暗くなりかけの頃、近所の酪農さんが、えっと、名前を忘れたけど・・電気の大きい奴。スポットライトの大きい奴を借りに来た。
『えぇ〜如何した?』って聞いたら牛の様子がおかしくて、獣医さんを呼んでみてもらったら、今から手術だそうだ。両方からライトを当てて手元が良く見えるようにするんだって・・

今朝、返しに来たから聞いたら、死んだだって。4つある胃が捻転起こして大変だったらしい。
小さい時に買われてきて、子を産んで産んで、産んで後は繋がれてお乳を搾られて、繋がれたまま一生が終わりだものね。お乳を出すだけで終わっちゃうなんて・・可哀想すぎる。
私ならとよく思う。私なら鼻ぐりをしばってるロープを何とか解いて、山に逃げる。山で人の目の触れない所でのんきに暮らす。幸いに草さがあれば生きていけるんだもの、何とか生きていけると思う。
私ならきっと逃げ出す。
大きな夢がある訳ではない。自分が居ることで大いに役には立っているんだろうけど、一生のうち、一度だけでも自由ってものを噛みしめて生きて行きたいからね。
牛って何年生きるんだろ?よくそこの家で繋がれた牛を見るけど糞尿で汚れた小屋の、指定の場所で来た時のまま同じ場所で、何年も生きてる牛を見たら可愛そうでな〜んも言って上げれない。

まだ繁殖牛(赤ちゃんを産ませて売る牛飼いの方法)のほうが幸せだなと思う。小屋の敷物は一週間に一度は替えて貰えるし(糞尿が肌につくと肉の臭いが臭くなるそうで)夜はぬくぬくと暖かそうだし、子牛の時から売れられていく3年間、十分大切にしてもらえる。
もし如何しても動物にしか生まれ変られないとしても、乳牛だけは嫌だ。

その死んだ牛さん、如何するのと聞いてみた。所定の車で運んで焼却するそうだ。お金がかかって・・ってこぼしてた。
昨夜の手術代もあるし、運んで、何で死んでしまったか検査もあるんだって・・もちろん検査代もいるんだそう。
酪農にもやっぱ、保険があって一頭一頭保険を掛けてるけど、いろんな手続きのお金を引いて戻ってくるのは、一頭死んで4,5万。お乳を出してた牛ならその損失は百万単位らしい。

ねぇ、それでも酪農をする?の答え『もう40年もやってきたからね』だって。
女手一つでやってきた酪農だからもう少しやる!といった彼女、お疲れ様。
昨夜は寝てないんだって・・・辞めっちまえっは心の声     *マザー