母娘

朝起きてすぐに買出しに連れて行ってもらった。
買うものはお茶っ葉やパン粉やだしコンブなんかをしこたま買い込んだ。
卵が特に欲しくてね。
烏こっけいが卵を産まなくなってもうおおかた2ヶ月たってる。
それが、今日から生み出したんだわ〜。
ヒナがだいぶ育ったからもうね、子育ても終わり。全部の親鳥が一斉に産卵を始める。
『ねぇパパさん、卵を売りに行く〜?』
『・・・・』返事なし。
どうしよう〜?せめて餌代ぐらいは収入があったほうが良いけどね。

コスモスの種の中に座り込んで、種をほろほろと取り出していて、もう夢中だったんよね。
そこへ電話がなって・・でもやれそれには立ち上がれなくて、しくはくしてたら電話が鳴り止んだ。
母からだった。
『留守だったから、ジグソーを買いに行ってるかもと、嬉しくなたんよ(*´σー`)エヘヘ』だって。
母から難しいジグソーを買って送って欲しいとやんわりと頼まれてはいた。
・・・(゚_゚i)タラー・・・本気だったんだぁ〜。
さっそくに買いに行って送ってあげようかなと思った。

母。81歳。まだまだ健康。
私のこの年に母がいるなんて有り難い事だもんね。感謝だよね・・一般的には。
ジグソーを送るだけで大喜びするんなら、それで親孝行の真似事が出来るならそれが良いよね。

私は母の欲しい年頃に母に棄てられた。
3人も子供が居たのにね、母は私を選んで田舎の祖父の元へやってしまった。
母はすぐに結婚して結婚相手には子供は2人と言っていたそうで、私はいないもんになっていた。
毎日母を待ったんよ、毎日帰ったら迎えに来てくれてるかもと、大急ぎで帰ったんだけど母は、とうとう迎えになんか来なかった。
母がいなくても、親に捨てられたとしても、私はまっとうに生きるのだと決めて、生きてきた。
大人になってね、お前を心配してたといくら言われても、寂しさは癒えなかったんよ。
まぁね傷ついた心を隠してね、なんちゃぁない、とは言って来た。
実は心は壊れるほどに傷ついていた。
悔しいから壊れるもんかと意地を張ってたけど。

母は無邪気にもう過去なんて忘れてしまったかのようにしてる。
私だって知らんぷりで、何にも無かったように平和な母娘。
これで良いんだよね。
知らぬ振りで母娘を演じてたらね。
母も娘を育てなかった後悔を抱えて生きているのだろうから・・         *マザー